んです。ヨーロッパのコースでしか体験できない事実なんですよ。コレに類する事がたくさん露呈したんです。あと一歩で優勝、という差だと考えていたのが、実はとてつもない開きがあった事に気付かされたんです。
WEB:
他にもあったんですか?
二階堂:
数え上げたらキリがないほどです。例えば先の話しもリアとフロントでは条件が違ってくる。さらに支持ベアリングのベアリングピッチも、広ければいいってもんじゃないという事も判った。またずっとスクラブの設定だと思っていた事案が、実はホイールオフセットの方が影響力が大きいという事を発見したり、使用バッテリーがニカドとニッケル水素の場合の差がもたらす事や、さらにその容量に関連しての重量が及ぼす影響、ダンパースプリングの硬軟の考え方の違い等々、本当に数え切れないほどのテーマが出てきたんです。
WEB:
で、どうされたんですか?
二階堂:
一端日本に戻って、今度はボク一人でイタリアに乗り込みました。答えを見つけるまで何度も行きました。
WEB:
新しい世界への挑戦といえそうですね。
二階堂:
その通りです。2003年9月のアメリカでの世界選手権が迫っていまして、まずは目標として2003年3月のプレ世界選手権と、7月にノルウェーで開催されるヨーロッパ選手権に出走できる事を目標としました。ファントム・エボリューションを改良したマシンをさらに欧州仕様にしたプロトタイプをファントム・エボリューション・タイプ4と仮称して用意しました。でもノルウェーでは部品が間に合わなくて、パドックでリューターを回し続け、アルミくずで埋もれるほどの作業を繰り返し、なんとなく手応えをつかんだ感じです。
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WEB:
プレ世界選とヨーロッパ選手権の結果は?
二階堂:
まずプレ世界選でエイドリアン・バーティン選手が優勝とTQを獲得し、その結果あぶり出された課題を、先ほどお話ししたような現場でのバタバタ作業で解決しながらノルウエーでも不完全ながらいい戦績を収めたんですよ。なんとなく核心をつかんだという実感がありました。そして9月のアメリカでの世界選手権ギリギリまで開発を進めたんですが、まだ納得できない部分がありました。加えてドライバー達からもダメ出しが続いていたんです。
WEB:
それでまたイタリアに行かれたと聞きましたが?
二階堂:
7月のノルウェーが終わって2ヶ月もしないで世界選手権なんですよ。ノルウェーから帰ったその日に成田から栃木で開催されていた全日本選手権に行き、その結果も踏まえて8月には金型を作って世界選に臨 |