WEB:
具体的にはどうされたんですか?
東野:
まず1/8 インファーノと同等の風格というか、レースで勝つ事だけを目標にしているマシンならではの機能美をどう血肉化するかでしたね。1/8 インファーノは、どこを取っても無駄や妥協がない。だから美しい。だからこそ高い戦闘力を発揮する。まずその点を自分のものにしていなければならないと思いました。自分のものにするというのは、僕自身が、1/8インファーノの速さやアドバンテージを理解し、理屈で体得しておく事が重要で、それをハーフサイズでどうロジカルに再構築するかと言う事です。そのために、1/8インファーノをとことん調べました。
WEB:
ただ小さくしていけばいいと言うものではない?
東野:
そうです。機能をきちんと発揮させるためには強度や剛性、素材自体の特性等を理解し、再構築する必要があります。小さくしただけでは目標の能力を引き出せないんです。それなりに形状を変えたり、太くしたり、あるいは逆に細くしたり。サイズが及ぼす影響は、実際に作ってみて、数多くのテストを繰り返さないと、こちらの思う要求性能に達しているかどうかが分からないんです。楽して近道しようとすると、インファーノではない形や質感になってしまう。すべてにおいてそう。その点にまず苦労しました。
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WEB:
その答えのひとつがシリオエンジン?
東野:
シャシーは機能を突き詰め、1/8インファーノの設計思想を理解していれば、とりあえず具体的な要求性能が掲げられる。でもそれもまずパワーありきなんですね。エンジンが一番問題です。
WEB:
1/8もシリオエンジンとのコンビで世界選手権を獲得していますからね。
東野:
ええ。パワーがあって初めてシャシーの速さが光を放つ。でないとオーバークオリティな、ただ贅沢なバギーに過ぎないものとなってしまう。でもシリオエンジンを作っているイタリアの「スターモーター社」には、その頃ちょうどいいサイズのエンジンがなかった。
WEB:
それがどういういきさつでシリオエンジンの開発へと進んだんでしょう?
東野:
会議の席でした。エンジンも1/8同様のコンビで行くべきだろうという会長の訓示があって、我々も膝を打ったわけです。やっぱりそうだよな!って。スターモーター社にさっそく話を持ちかけ、開発コンセプトを話したらすぐに理解してくれて、開発が始まりました。
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